京都市生物多様性総合情報サイト 京・生きものミュージアム

京都市

新着情報

2016.10.7

『【京都学園大学京町家「新柳居」連続セミナー】和の花と生き物文化の再生』 に参加しました。 (平成28年10月4日)

【京都学園大学京町家「新柳居」連続セミナー】 和の花と生き物文化の再生

 本セミナーは,京の文化を支えてきた植物の保全再生の取組やその課題について,広く市民のみなさんに知っていただくとともに,担い手の交流と拡大及び産公民学連携を推進し,議論の中から新たな展開を見出すことを目的に,全6回の公開連続セミナーとして開催されるものです。(主催:京都学園大学,共催:(公財)京都市都市緑化協会)

第1回「藤袴プロジェクトの展開に向けて」

 フジバカマ(藤袴)とは,日本では奈良時代から親しまれていた花で,秋の七草の一つです。園芸種は多く出回っていますが,自生種は環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)種,京都府では絶滅寸前種に記載されいています。また,このフジバカマの花には,海を隔てた地域にツバメのように「渡り」をする珍しいチョウ,アサギマダラが蜜を求めてやってきます。

 連続セミナーの第1回は「藤袴プロジェクトの展開に向けて」と題して,貴重な自生種のフジバカマを継承する活動やアサギマダラについて,藤井氏(大原野森林公園森の案内人)と藤野氏(大原のオオムラサキを守る会)のお二人が御講演されました。

 始めに,主催者である京都学園大学の森本教授から御挨拶があり,続いて,藤井氏から,フジバカマの保全活動の始まりから現在に至るまでの取組の様子について,お話しいただきました。また,会場には,自生種と園芸種のフジバカマが展示されており,自生種の方が草丈が高く花期が早い等の両種間の違いについて,実物を見ながら教えいていただきました。激減した自生種のフジバカマを,今日の我々が様々な機会で目にすることができるのは,藤井氏をはじめ,多くの方の力に支えられてのことだということに,改めて気付くことができました。

 さらに,藤井氏から森の案内人として活動をされている「大原野森林公園」(西京区)についても紹介していただきました。現地では,カタクリソウやヤマブキソウなどの貴重な植物が,訪問者の目を楽しませているとのこと。一方で,シカによる食害が深刻であるため,防獣ネットによる生物多様性の劣化を復活させるための取組が行われているとのことでした。 

藤井氏(大原野森林公園森の案内人)
※手前に写っているのは,自生種及び園芸種のフジバカマ

 ここからは,講師が藤野氏にバトンタッチされ,話題はアサギマダラに移りました。右京区水尾地域のフジバカマに大量に飛来しているアサギマダラの映像を見せていただいた後,御本人が取り組んでおられるアサギマダラの標識(マーキング)調査について説明していただきました。マーキング調査とは,捕まえたアサギマダラの翅にサインペンで記号を書き,再び離すという方法により,移動のルートを調べるもので,この調査により,日本で秋を過ごしたアサギマダラが,南下して海を渡り,遠くは台湾まで移動して冬を過ごすことが分かったそうです。か細い体で長距離を移動したり,フジバカマなどの特定の植物によく飛来するなど,アサギマダラの不思議な生態について知ることができ,非常に興味深かったです。

 また,藤野氏は,左京区大原地域でオオムラサキの保護活動やミヤマアカネの追跡調査,さらには大原由来のフジバカマの植付けにも取り組んでおられるとのことで,「大原の里」についても紹介していただきました。

藤野氏(大原のオオムラサキを守る会)

 今回のセミナーでは,実際に,長年にわたり生きものの保全活動や調査に携わっておられる方からのお話を聞くことができ,大変勉強になりました。

 現在,本市が策定した「京都市生物多様性プラン」に基づく「京の生きもの・文化協働再生プロジェクト認定制度」において,多くの方にフジバカマの保全活動に取り組んでいただいています。今後とも,この保全活動の輪を絶やすことなく継続し,更に広げていくことが大切であると感じました。

 また, お二人が主に活動している「大原野森林公園」と「大原の里」は,その地名が似ていることはもちろん,昔から京の都の近郊の地として訪問者が多く,人と自然の融和的な付合いが継続しているなど,類似点が多くあることも知ることができました。この2箇所は,昨年12月に環境省が選定した「生物多様性保全上重要な里地里山」(500箇所)に選ばれており,今後とも大切に守っていかなくてはいけない自然環境であることを再認識しました。

 本連続セミナーはあと5回開催されます。御感心のある方は,是非御参加下さい。

 

※ 今後の開催日程は2016年11月1日(火),11月29日(火),12月13日(火),2017年1月17日(火),2月7日(火)です。

  各回の詳細については,順次当ホームページの「生きものイベント情報」に掲載していきます。生きものイベント検索ページにて,キーワード「和の花と生き物文化の再生」を御入力いただき,御覧ください。

http://ikimono-museum.com/event/

ページの先頭へ戻る